焼鳥、唐揚げ、親子丼…私たちの食卓にかかせない鳥肉料理。
栄養価が高くヘルシーなので、美容や健康に良いのも人気の秘密です。
高級食材から庶民の味として広まっていった、その歴史を紐解いてみましょう。
鳥が食に供された歴史は非常に古く、「旧約聖書」には、エジプトを脱出したイスラエルの民が飢えに見舞われた際、神がウズラの大群を与えて救ったという話が記されています。 日本では古くから野生のキジが食用とされ、ニワトリは闘鶏用または時を告げる鳥として飼われていました。飛鳥時代の「食肉禁止令」の影響もあって、鶏肉を食べる習慣が一般的になったのは江戸時代以降のことです。明治時代には、庭先養鶏が主流だったこともあり、鶏料理は他の肉料理よりも高級なものとして珍重されました。
鶏肉が一般家庭に普及したのは、肉養鶏専用種の輸入が始まった昭和30年代。飼育方法も発達し、安価で大量に供給されるようになりました。消化がよく、コラーゲンやたんぱく質などの栄養素が豊富なことから、病人の滋養食としても大いに利用されました。ちなみに、世界三大美女の1人である楊貴妃も、美容のため手羽先の煮込み料理を好んだというエピソードがあります。
鶏肉料理のバラエティは多彩。素材の淡白さが日本人の口に合うためか、焼鳥、唐揚げ、親子丼、水炊きなど、さまざまな料理に多用されています。なかでも焼鳥は、手軽に素材の味を堪能できる鶏肉料理として幅広い世代に愛されています。東京の繁華街では、サラリーマンが会社帰りに立ち寄る場所として、鶏肉の普及とともに焼鳥屋が軒を連ねるようになりました。「焼鳥は鮮度が何より大事」と語るのは、日本橋で焼鳥の専門店を営むご主人。焼きたてを熱いうちにいただくのも、鶏肉本来のおいしさを味わう秘訣だそうです。
最後にウンチクを一つ。ニワトリの由来は、庭で飼われる鳥―「庭鶏」にあると思われがちですが、羽が赤かったため、黄みがかった朱色を指す「丹色」の羽の鶏ということで、「丹羽鶏」になったとか。焼鳥を片手の酒談義に、こんな“ニワトリビア”はいかがでしょうか。
※取材協力 多奈か