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美味しい話 ~割烹・日本料理~

季節を味わう料理といえば、やはり日本料理。
その真髄は、旬のもち味を生かした調理にあるともいえます。
日本人の知恵が育んだ料理の魅力を、「旬」をキーワードに探ってみましょう。

走り、盛り、名残。三つの旬を味わう

塩打ちし寒鰤の肌くもりけり 草間時彦

季語は鰤(ぶり)で、冬の俳句です。どうして、鰤は冬の季語なのでしょう。それは、冬がいちばんおいしいからです。食材に関する季語はほとんど、このような基準で分類されています。鮟鱇鍋、蕪汁、湯豆腐などは、みな、冬の季語です。

食べごろを捉えて、季節を味わう。いわゆる「旬の味覚」を楽しむことは、うつろう四季とともに暮らす日本人の知恵として、長い間、育まれてきました。それが、日本独自の食文化として結実したのが日本料理といえるでしょう。日本料理においては、何よりも季節感が重視されます。

旬にも、実は3段階の呼び名があります。

出始めの頃の「走り」。初物とも呼ばれ、新しい季節の到来を味わいます。庶民が競って初鰹を食べた江戸の頃から、「走り」を楽しむのは粋なこととされました。

「盛り」とは最盛期で、味も良く、栄養価も高くなります。もっともおいしい時期、つまり旬の盛りに食べることは、味はもちろん、栄養面でも非常に好ましいことなのです。市中に出回りますから、値段も安くなります。

そして、終わりの頃の「名残」。去りゆく季節をいとおしむように味わうのは、また格別の趣があります。

このような、微妙な時期ごとに、最適の調理法が用いられるのも日本料理の特徴です。たとえば、鱧(はも)。「盛り」の夏には湯引きして梅肉などを添えていただきますが、「名残」の時期には、松茸とともに土瓶むしにした方がおいしく味わえます。松茸の「走り」と鱧の「名残」の出合いが織りなす味も、日本料理ならではの季節の味覚といえます。

冬の旬といえば、鰤や鮟鱇、鱈、牡蛎、帆立など魚介類です。身がしまり、脂ののったこの時期は、刺身や焼き物だけでなく鍋ものにも最適です。それから、白菜や大根、蕪、蓮根といった根菜。根菜には体を温める効果もあります。

旬をおいしくいただいて、寒い冬を元気に過ごしましょう。

 

※取材協力 日本料理 日本橋とよだ

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