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美味しい話 ~中華料理~

餃子、春巻、麻婆豆腐など、家庭の食卓にものぼることが多い中華料理。
油を用いて、短時間で料理・・・と、豪快なイメージが強いですが、実は繊細な部分も。
今回は豪快さと繊細さが同居する、中華料理についてお話ししましょう。

下ごしらえで、素材のうまみを引き出す職人技

中国の国土は960万km²。これは全世界の陸地の約7%、日本と比較すると26倍もの広大な面積。そのため多くの民族、言語があり、同時に膨大な数の料理が存在しています。大きく分けると、北京、上海、広東、そして四川が中国の四大料理。基本的に強い火力を用いて短時間で調理し、食感や風味など素材を生かす料理が多いといえます。ただし、“東酸、西辣(ラツ)、南甜(カン)、北鹹(カン)”という熟語が示すとおり、「北京から見て、東方の料理は酸味があり、西方の料理は辛く、南方の料理は甘く、北方の料理は塩っ辛い」といったように、味付けには大きな違いが存在しています。

多くの中華料理が短時間で調理するため、豪快なイメージを持たれがちですが、実はかなり繊細な料理。素材は歯ごたえや火の通り方を均一にするため、調理前に湯通し、油通しを行うなど、丁寧な下ごしらえが中華料理の真髄なのです。さらに、麺、餃子や春巻の皮は、季節に合わせて生地の硬さを変えるといった、神経質なほどの配慮も重要に。強い火力を使い短時間で調理するからこそ、素材本来の味わいが生かせるのです。

ちなみに日本における“中華料理”とは、四大料理はもとより、さまざまな中華料理が複雑に組み合わさったもので、ベースは広東料理だといわれています。その理由は、日本に移住した人の多くが広東の出身だったため。広東料理の主なメニューは八宝菜やフカヒレ、ツバメの巣、酢豚などがあります。このほか、日本でも親しみのある飲茶なども広東から広まったメニュー。塩味のあっさりした料理が多いため、特に下ごしらえが重要になってきます。

そんな中華料理の職人技は、現代の日本においても連綿と受け継がれています。日本橋で中華料理店を営むご主人も「下ごしらえと火加減が中華料理のキモ」と語ります。手間を惜しまず、丁寧に下処理をした素材を短時間で調理するからこそ、素材本来のうまみが際立つのです。いま一度、素材と炎が織り成す中華料理の繊細さを、五感で楽しんでみてはいかがでしょうか?

 

※取材協力 大勝軒

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